多汗症とは
多汗症は、汗が過剰に出る状態のことで、全身の汗が多く出る「全身性多汗症」と、局所的に一部の体の部位だけ汗が多くなる「局所多汗症」に分けられます。多汗症の原因は多様ですが、はっきりした原因が見つからない場合は、「原発性(特発性)多汗症」と呼ばれます。原発性局所多汗症は、主にわき、手のひら、足裏、顔など限られた場所で日常生活に支障をきたすほど汗が増える病気です。
診断と治療のポイント
日本皮膚科学会の「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版」では、原発性局所多汗症の診断は問診を中心に行い、実際の汗の量測定は必須ではありません。治療は患者本人の希望を尊重し、生活の質(QOL)が損なわれている場合に開始されます。治療によって悩みが軽減できることを目指します。
保険適用治療
わきの多汗症
抗コリン薬の外用薬
- ソフピロニウム臭化物(エクロック®ゲル)
- グリコピロニウムトシル酸塩水和物(ラピフォート®ワイプ)
これらは汗腺の活動を抑え、過剰な発汗を軽減します。
頭部・顔面の多汗症
- 抗コリン薬の内服薬として
- 臭化プロパンテリン(プロバンサイン®)
- トフィソパム(グランダキシン®)
が用いられ、症状を緩和します。
手掌多汗症
- オキシブチニン塩酸塩(アポハイド®ローション)の外用で発汗を抑えます。
- イオントフォレーシス療法も有効です。
足底多汗症
- イオントフォレーシス療法が主な治療法です。
イオントフォレーシス療法とは

イオントフォレーシスは、手や足を水に浸し微弱な電流を流すことで汗の出口を一時的にふさぎ、発汗を抑制する方法です。1回あたり10〜20分の通電を週1回、約12回程度行います。痛みは少なく副作用も軽微で、多くの症例で効果が認められています。治療は保険適用です。
保険適用外治療
- 塩化アルミニウム液の外用
すべての部位の多汗症に使用可能ですが、現在は保険適用外の治療になります。
日常生活での工夫
- 汗をよく吸う素材の服を着用し、不快感やかぶれを減らす。
- ストレスの軽減や十分な睡眠をとる。
- 発汗を促進する辛い食べ物(カプサイシンを含む)やアルコールは控える。
- 緊張しやすい場面ではリラックス法を試みる。
まとめ
多汗症は単なる汗っかきとは異なり、日常生活に支障を及ぼす大きな問題です。原発性局所多汗症は特にわきや手足、顔の一部に汗の過剰が見られます。治療は外用薬や内服薬、イオントフォレーシスなど多様であり、患者さんの症状や希望に合わせた選択が重要です。治療を始めるかどうかは患者本人の意思が尊重されますので、気になる症状があれば早めに医療機関で相談しましょう。
参考文献・公式資料(URL付き)
- 日本皮膚科学会・日本発汗学会 編「原発性局所多汗症診療ガイドライン 2023年改訂版」
- 「多汗症の治療薬は?薬・イオントフォレーシスなど最新情報」(2025年7月)
- 「外用剤の登場で身近に『多汗症』治療を整理」(Credentials 2025年7月)