にきび(尋常性ざ瘡)とは
にきび(医学的には尋常性ざ瘡〈じんじょうせいざそう〉)は、主に10〜30歳代に見られる皮膚の炎症性疾患です。
顔、胸、背中などの皮脂分泌が多い部位にできやすく、思春期だけでなく大人になってからも起こることがあります。
にきびは、単なる「青春のシンボル」ではなく、慢性的な皮膚の病気として医学的治療が必要な場合があります。
にきびの原因
最近の皮膚科学会の報告では、にきびは次の4つの要素が重なって起こるとされています。
- 皮脂の過剰分泌:ホルモンの影響で皮脂が多く出る
- 毛穴のつまり(角化異常):皮膚の代謝リズムが乱れ、角質がたまる
- アクネ菌の増殖:通常は皮膚にいる細菌が、詰まった毛穴の中で増える
- 炎症の発生:免疫反応により赤く腫れる、膿がたまる
さらに、ストレス、月経周期の変化、睡眠不足なども悪化要因となります。
大人のにきびでは、特にあご周りや口の下に出ることが多いと報告されています。
保険診療で行う治療
外用薬(ぬり薬)
皮膚科学会ガイドラインでは、外用薬による治療が基本とされています。以下の薬剤が中心です。
- アダパレン(ディフェリン®):毛穴の詰まりを防ぐ
- 過酸化ベンゾイル(ベピオ®、エピデュオ®、デュアック®):アクネ菌を減らし、炎症を抑える
- 抗菌薬外用剤(クリンダマイシンなど):細菌の増殖を抑える
これらを併用することで効果を高めることが多く、近年は過酸化ベンゾイルを主成分とする治療が第一選択とされています。
内服薬
中等度から重度のにきびには、内服抗菌薬(ドキシサイクリン、ミノサイクリンなど)を用います。女性の場合、ホルモンバランスによるにきびには漢方薬や低用量ピルを処方することもあります。
面疱圧出(めんぽうあっしゅつ)
専用の器具で、毛穴につまった皮脂や角質を除去します。
医師や看護師が無理のない範囲で安全に行うことで、にきび跡を残さず改善を促します。
光線療法(オムニラックス)
赤色LED(波長633nm)の光を照射して炎症をやわらげ、皮膚の回復を助ける治療です。週1〜2回の治療を2か月程度行うと効果的とされています。保険診療の対象であり、厚生労働省・米国FDAに認可されています。副作用として、まれに照射部位に一時的な赤みが生じることがあります。
保険適用外の補助治療
ケミカルピーリング
グリコール酸などの薬剤を使って古い角質を取り除き、毛穴の詰まりを改善させます。
皮膚のターンオーバーを整えることで、再発しにくい肌状態に導くことが期待されます。
自費診療になりますが、外用治療と併用すると効果的です。
生活で気をつけること
- やさしい洗顔(1日2回を目安に、強くこすらない)
- 保湿を欠かさず、油分の多い化粧品を避ける
- 睡眠をしっかりとり、ストレスをためない
- 髪の毛やマスクの刺激を減らす
まとめ
にきびは、皮脂や細菌、ホルモンバランスなど多くの要因が関係する皮膚の病気です。外用薬治療が中心ですが、重症の場合は内服薬や光治療を併用します。自己流で潰したり放置せず、皮膚科で早めに治療を受けることが大切です。正しい治療と生活習慣の見直しで、炎症を抑え、にきび跡を防ぐことができます。
参考文献・出典
- 日本皮膚科学会ガイドライン作成委員会. 「尋常性ざ瘡治療ガイドライン2023」. 日本皮膚科学会, 2023.