太田皮フ科クリニック

真皮のターンオーバーとは?ニキビ跡・毛穴・肌のハリが変わる理由を皮膚科医が解説

監修:太田多美 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 医学博士

著者:太田皮フ科クリニック

  • 真皮
  • ターンオーバー
  • コラーゲン
  • エラスチン
  • ニキビ跡
  • クレーター
  • 毛穴
  • たるみ毛穴
  • 皮膚科
  • 名古屋市南区

真皮

肌の深い部分にある真皮では、コラーゲンなどの組織がゆっくりと作り替えられています。真皮の構造と肌のハリ・弾力、ニキビ跡のクレーターや毛穴の目立ちとの関係を皮膚科医が解説します。

はじめに

「肌のターンオーバー」という言葉を聞くと、

「古い角質がはがれて、新しい肌に入れ替わること」

をイメージされる方が多いかもしれません。

私たちが普段「ターンオーバー」と呼ぶときは、主に表皮の新陳代謝を指すことが多いです。

ですが、肌のもう少し深いところにある真皮でも、コラーゲンなどの組織は少しずつ作り替えられています。

こんにちは。

名古屋市南区の太田皮フ科クリニック、皮膚科医の太田多美です。

前回は、ニキビ跡の色素沈着とターンオーバーについてお話ししました。

今回はもう一歩深く、

  • 真皮とはどんな場所なのか
  • 真皮では何が起きているのか
  • 肌のハリや弾力とどう関係しているのか
  • ニキビ跡や毛穴の目立ちとどう関係するのか

についてお話しします。

そもそも「真皮」とは?

皮膚は大きく分けると、

  1. 表皮
  2. 真皮
  3. 皮下組織

という層でできています。

真皮は、表皮よりも内側にある組織です。

主に、

  • コラーゲン
  • エラスチン
  • ヒアルロン酸などを含む細胞外マトリックス
  • 線維芽細胞
  • 血管
  • 神経

などで構成されています。

真皮は、肌の形や強さを支える重要な部分です。

コラーゲンとエラスチンは何をしているの?

真皮というと、「コラーゲン」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。

コラーゲンは皮膚を構成する主要なタンパク質の一つで、皮膚の構造を支える役割があります。

一方、エラスチンは、皮膚が伸びたり戻ったりする際の弾力性に関わります。

真皮のコラーゲンやエラスチンなどが適切な構造を保つことで、

  • 肌のハリ
  • 弾力
  • 形状を保つ力

につながっています。

加齢に伴ってコラーゲンの量や構造が変化し、弾力性が低下することが報告されています。

「真皮もターンオーバーする」は本当?

はい。

ただし、表皮のターンオーバーとまったく同じ意味ではありません。

真皮でも、

  • 古くなったコラーゲンなどが分解される
  • 線維芽細胞が新しいコラーゲンを作る
  • 組織が少しずつ再構築される

という代謝が続いています。

これを広い意味で「真皮のターンオーバー」と表現することがあります。

ただし、真皮は表皮よりもはるかにゆっくり変化します。

真皮のターンオーバーは「3〜5年」?

インターネットなどでは、

真皮は3〜5年で入れ替わる

という説明を見ることがあります。

ですが、現在の医学的知見では、これを全員に当てはまる固定された周期として説明するのは適切ではありません。

人の皮膚コラーゲンについては、半減期が約10〜15年程度と推定した研究があります。さらに、I型コラーゲンではより長い時間をかけて入れ替わる可能性を示した報告もあります。

そのため、

「真皮は数年ですべて新しい組織に入れ替わる」

というより、

「真皮では非常にゆっくりと組織の作り替えが続いている」

と理解していただいた方が正確です。

真皮の変化が肌のハリや弾力に関係します

年齢を重ねると、

  • コラーゲンの量が減る
  • コラーゲン線維が断片化する
  • エラスチンなどの構造が変化する
  • 線維芽細胞の働きが変化する

といった変化が起こります。

その結果、

  • 肌のハリが低下する
  • 弾力が低下する
  • しわが目立つ
  • たるみが目立つ

といった変化につながることがあります。

真皮と「毛穴の開き」は関係している?

毛穴が目立つ原因は一つではありません。

たとえば、

  • 皮脂分泌が多い
  • 角栓が詰まっている
  • ニキビ跡によって皮膚がへこんでいる
  • 加齢によって皮膚のハリが低下している

など、複数の原因があります。

その中でも、頬などの毛穴が縦長に目立つ「たるみ毛穴」では、真皮のコラーゲンやエラスチンの変化による皮膚の支持力低下が関係することがあります。

ただし、

すべての毛穴の開きが真皮の衰えによるものではありません。

鼻の黒ずみ毛穴や角栓毛穴などでは、皮脂や角質など別の原因が中心です。

そのため、「毛穴が気になる」という場合も、まず何が原因なのかを見ることが大切です。

ニキビ跡のクレーターにも真皮が関係しています

ニキビ跡の中でも、

  • 凹んでいる
  • でこぼこしている
  • 光が当たると影ができる

といったクレーター状の跡は、皮膚の深い部分まで炎症によるダメージが及んだことで生じることがあります。

ニキビ瘢痕の多くは、炎症によって真皮のコラーゲン線維が失われることで生じる萎縮性瘢痕です。

代表的には、

  • アイスピック型
  • ボックスカー型
  • ローリング型

などがあります。

このような跡は、単なる色素沈着とは異なり、皮膚の構造自体が変化している状態です。クレーター状のニキビ跡は、ターンオーバーを待てば治る?

表皮の色素沈着であれば、時間とともに薄くなることがあります。

一方、クレーター状のニキビ跡では、真皮のコラーゲン構造などが変化しているため、

「肌のターンオーバーを待てば自然に元どおりになる」

とは言いにくい状態です。

「真皮ケアをすれば毛穴もニキビ跡も治る」わけではありません

ここは少し注意していただきたいところです。

真皮のコラーゲンを増やすことを目的とした美容医療があり、ニキビ跡や一部の毛穴に対して検討されることがあります。

ただ、

真皮を刺激すれば、すべての肌悩みが改善するわけではありません。

ニキビ跡には種類がありますし、毛穴にも原因があります。

そのため、

  • 赤みなのか
  • 色素沈着なのか
  • 本当にクレーターなのか
  • 毛穴のつまりなのか
  • 加齢によるたるみ毛穴なのか

を見分けたうえで、治療を考える必要があります。

真皮にアプローチする治療にはどんなものがありますか?

ニキビ跡などに対しては、皮膚科・美容皮膚科で、

  • マイクロニードリング
  • 高周波(RF)
  • レーザー治療
  • ケミカルピーリング
  • その他、瘢痕の種類に応じた治療

が検討されることがあります。

例えばマイクロニードリングは、皮膚に微細な刺激を与えることで、新しいコラーゲンやエラスチンの産生を促し、へこんだニキビ跡を目立ちにくくする目的で用いられることがあります。

ただし、どの治療が適しているかはニキビ跡の形や深さによって異なります。

真皮を「自分で強く刺激する」のはおすすめしません

「真皮を刺激すればコラーゲンが増えるのであれば、自宅で強く刺激すればいいのでは?」

と思われる方もいるかもしれません。

ですが、

  • ニキビをつぶす
  • 強くこする
  • 自宅で針を使用する
  • 強いピーリングを自己判断で繰り返す

といった行為は、炎症や色素沈着、瘢痕を悪化させる可能性があります。

治療を検討する場合は、皮膚の状態を確認したうえで、適切な方法を選ぶことが大切です。

「毛穴が開いてきた=肌が老化した」とは限りません

毛穴が以前より目立つと、

「真皮が衰えたのかな」

「年齢のせいなのかな」

と心配される方もいらっしゃいます。

でも、毛穴にはいろいろな種類があります。

毛穴が目立つ状態
考えられる主な要因
黒い点のように見える
角栓・皮脂の酸化など
白く詰まって見える
皮脂・角質による角栓
縦長に見える
ハリ低下・たるみなど
凹凸として見える
ニキビ跡・瘢痕など
大きく丸く見える
皮脂分泌や毛包の大きさなど

「毛穴」という同じ言葉でも、原因は違います。

そのため、まず状態を見てから考えることが大切です。

真皮についてよくある質問

Q. 真皮にもターンオーバーはありますか?

真皮でもコラーゲンなどの分解と合成が行われています。ただし、表皮のターンオーバーよりはるかにゆっくりです。

Q. 真皮は3〜5年で入れ替わりますか?

「3〜5年」という固定された周期で全体が入れ替わるとは言えません。皮膚コラーゲンの半減期を約10〜15年程度と推定する研究もあります。

Q. 真皮が衰えると毛穴が開きますか?

加齢によるハリや弾力の低下が、一部の「たるみ毛穴」に関係することがあります。ただし、毛穴の原因は皮脂や角栓、ニキビ跡などさまざまです。

Q. ニキビ跡のクレーターは真皮のダメージですか?

多くの萎縮性ニキビ瘢痕では、炎症による真皮コラーゲンの損失などが関係しています。

Q. スキンケアだけで真皮のクレーターを治せますか?

皮膚構造が変化したクレーター状の瘢痕は、一般的なスキンケアだけでは改善が難しい場合があります。治療を希望する場合には、皮膚科・美容皮膚科で瘢痕の種類を確認したうえで相談する方法があります。

名古屋市南区でニキビ跡や毛穴が気になっている方へ

  • 「毛穴が開いてきた気がする」
  • 「ニキビは治ったけれど、でこぼこだけが残っている」
  • 「ターンオーバーを整えれば治るのか分からない」

そう感じて調べている方もいらっしゃると思います。

肌は、表面だけを見ても原因が分からないことがあります。

特に、

  • ニキビ跡なのか
  • 毛穴なのか
  • 色素沈着なのか
  • 赤みなのか

は、ご自身では判断しにくいこともあります。

もしお悩みであれば、名古屋市南区・桜本町周辺にある太田皮フ科クリニックへご相談ください。

治療をするかどうかを決める前に、

「今、自分の肌では何が起きているのか」

を知るところから始めてみてください。

参考文献